PPMX-T002は、多くのがん細胞表面に存在するカドヘリン3(CDH3)を標的とします。抗体に放射性同位体(RI)を標識しており、放射線免疫療法(RIT)に用います。抗体ががん表面に結合し、体内から放射線を照射してがんを攻撃する仕組みです。当社は、RIをさらに有効性の高いものに変更することで、新たなRI抗体医薬品として開発を進めております。
PPMX-T003は、トランスフェリン受容体1(TfR1)を標的とします。TfR1は、鉄を結合したTfを細胞内に取り込むために、細胞膜上に発現しています。すべての細胞の生存には細胞内への鉄の取り込みが必須であり、増殖が盛んながん細胞には極めて多くのTfR1が発現しています。
このため、鉄の取り込みを阻害することで、がん細胞内の鉄を枯渇させ、がん細胞を死滅させる試みが古くから行われてきましたが、臨床で使用可能な抗体は未だ見出されておりません。当社がファージディスプレイ法により取得した完全ヒト抗体PPMX-T003は、これまでにない高い鉄取り込み阻害能により、効果的にがん細胞を死滅させます。
PPMX-T004は、がん細胞表面に存在するカドヘリン3(CDH3)を標的とする抗体に、薬物(抗がん剤)を結合した抗体薬剤複合体(ADC)です。抗体ががん細胞に結合すると、薬物とともに細胞内に入り込み、内側から薬物ががん細胞を殺傷する仕組みです。患者さんの免疫機能の状態に関わらず、高い効果が期待できます。標的はPPMX-T002と同じですが、放射線免疫療法(RIT)とは異なり、施設を選ばない利点があります。現在、薬剤とリンカーの最適な組み合わせを評価しており、新たなADCとして開発を進めております。