ペルセウス通信

2025年3月期業績予想について

2025年03月31日

みなさんこんにちは。社長の横川です。
先ほど、今期の業績予想をお知らせいたしました。まず最初に皆さんにご報告したいことは、今期末を目標にしていたPPMX-T002およびT003の導出が達成できなかったことです。2つのパイプラインの導出に向けて、今期は特に学会発表でのデータ公開や導出活動に力を入れてきましたので、私自身、非常に残念です。株主の皆様には大変申し訳なく、お詫び申し上げます。

T002は、β線を放射するイットリウム90(90Y)をα線を放射するアクチニウム225(225Ac)に変更することにより、顕著な薬効(がん縮小効果)の向上を動物実験で確認しました。この結果は昨年10月にドイツで行われたEANM’24で発表し、複数の製薬企業から関心が寄せられました。また、T002(90Y)は米国でP1および拡大P1(国内でのP2に相当)を実施済みで臨床での使用実績があります。従って、この抗体で放射性化合物のみを変更したT002(225Ac)は、治験前のデータが豊富であり、非常に魅力的なパイプラインと認識されています。一方、医薬品として使用可能な225Acの世界的な供給不足や、放射性医薬品が抗体以外にペプチドでも使用されるなどの選択肢の広がりから、導出交渉は当初より少し複雑になっています。当社はT002(225Ac)の薬効に自信をもって導出活動を継続していますが、残念ながら今期末までに導出を達成できませんでした。最近、世界的な225Acの供給不足は改善傾向にあること、また、複数の放射性医薬品開発企業が引き続き関心を示していることから、導出が完了するまで活動を継続します。

T003は、真性多血症(PV)P1の治験総括報告書(CSR)が先日完成しましたが、これを待たずに手元のデータで国内外の製薬会社への導出活動を進めてきました。多くの企業が関心を示していたため、今期の導出は可能と考えていました。しかし、本日時点で導出契約には至りませんでした。導出交渉に時間を要している理由は、当社のP1終了が遅かったこと、PV領域は他社の治療薬開発品が増え、交渉先が評価にかなりの時間を要していることです。また当社はPV以外に、他のがん治療への応用も加味した薬剤価値評価を希望していることも挙げられます。導出納期達成は重要な経営目標でしたが、当社の将来に影響するT003の価値訴求は妥協できないため、引き続き導出活動を継続します。現在、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)の医師主導治験と共に、種々のがん治療への応用を目的とした基礎研究を進めています。しかし、T003の新たな臨床開発は計画せず、早期の導出を目指します。

創薬ベンチャーの継続的存続には、研究資金以外に、技術的な競合優位性の維持と進展が非常に重要です。1月のペルセウス通信では研究の進捗状況についてお知らせしましたが、当社は新たに抗体ライブラリ2(ID-tag付与ファージ抗体ライブラリ)の作製に成功しました。現在はソフトウェアの開発と抗体ライブラリの運用を含めた検証を継続的に進めておりまして、今後はバイオインフォマティクスを活用した独自のAI創薬により、取得が難しい高難度抗原に対する抗体取得を進め、当社パイプラインの増強や抗体研究支援への展開を進めていきます。抗体ライブラリ2の活用については、昨年11月の決算説明会や3/29放送のセミナーでもご説明しておりますので、ご参照ください。

皆様には、改めてパイプラインの導出が遅れていることについてお詫び申し上げると共に、引き続き当社へのご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。