みなさんこんにちは。社長の横川です。
以前からお知らせしていた通り、今月19日から23日にドイツのハンブルクで行われた第37回欧州核医学会議(EANM’24)で、当社主体で開発しているアクチニウム225結合-抗CDH3抗体(PPMX-T002)の研究内容のポスター発表を行いました。共同で開発を進めているPDRファーマ社と理化学研究所の共同研究成果を発表したものです。
下に示すグラフがポイントとなるデータです。横軸は、がん細胞を移植して生着させたマウスにT002を投与してからの経過日数です。縦軸はがん細胞の大きさ(体積)です。青と紫の左側の2つは、T002を投与しない場合の比較データで、がん細胞は日が経つにつれ大きくなっています。
中央の青緑の線は
90Y結合体(以下、
90Y体)の低投与量群(154kBq/g)、オレンジの線は
90Y体の最大投与量群(308kBq/g)です。
90Y体では投与量に比例してがんの成長が強く抑制されています。一方、
225Ac結合体(以下、
225Ac体)の低投与量群(0.71kBq/g、赤)と高投与量群(1.42kBq/g、薄緑)は、2本のプロットがほぼ重なっており、投与量に関わらず、投与後91日目(試験終了日)までの間、がんが完全に消失しています。β線核種の
90Y体に比べ、α線核種の
225Ac体は、がんの殺傷効果が顕著であることが分かります。
今回はマウスによる実験ですが、ヒトでの効果が期待されます。なお、T002の
90Y体は既に米国で拡大P1(日本のP2相当)の治験が行われ、ヒトでがんへの集積性が確認されたほか、一部で治療効果も観察されています。
225Ac体は、
90Yを
225Acに置き換えた薬剤です。安全性の確認やその他の課題は多数ありますが、当社は、今後の開発を着実に進めていただけるパートナーへの導出活動を行っております。
皆様には引き続き、当社へのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。