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UBE社との共同研究契約締結について
2024年10月21日
みなさんこんにちは。社長の横川です。
本日お知らせしたとおり、当社はUBE株式会社とADC(抗体薬物複合体)に関する共同研究契約を締結しました。
ADCは抗がん剤などの薬剤を抗体に結合したArmed抗体の一種です。抗原抗体反応を利用して、がん細胞が特異的に提示している標的(正常細胞にはない標的)に抗体を結合させ、直接がん細胞を抗がん剤で攻撃するため、高い薬効が期待されています。このような背景から、世界のADC市場は2029年までにUSD400億を超えるという予測(グローバルデータ社:『抗体薬物複合体(ADC):市場概要』)も出されており、今後の成長が見込まれます。
専門的な話になりますが、ADCの研究開発をもう少し深くご理解いただくために、ADCの設計の実際について、説明させていただきます。難しいと思う方は、飛ばしていただいても結構です。
ADCの設計では、まず対象のがん細胞に結合する抗体設計、そのがん細胞を殺すペイロード(低分子抗がん剤のこと)の設計/選択、さらに抗体とペイロードを結合するリンカーという分子の設計、そしてこれらを結合するプロセスが必要です。加えて、ひとつの抗体にペイロードを何個結合するのか、ペイロードをいつ抗体から放出して作用させるのか、など多くの技術課題があります。薬剤設計はきわめて複雑ですが、その分高い効果が期待できますし、創薬研究者の腕の見せ所です。
創薬ベンチャーは、有機合成を主体とした低分子医薬分野か、細胞培養等を中心とした抗体医薬(生物製剤、あるいはバイオ医薬ともいわれます)の分野に分かれます。どちらも多くの経験や技術の蓄積が必要な上、研究員のバッググラウンドや実験設備が大きく異なるため、両方の分野をひとつのバイオベンチャーでカバーするのは実際上、困難です。創薬の担い手が大手製薬からベンチャーに移りつつある中、抗体専門である当社がADC創薬を進展させるためには、優れた合成技術を持つ化学メーカーとのコラボレーションが必須です。今回の共同研究では、UBE社という強力なパートナーを得て、当社の創薬力を加速して競争力を上げる効果を期待しております。
もともと当社とUBE社は、ADCであるPPMX-T004の研究を共同で進めておりますが、今後はさらに多くの種類のがんに対応したADC創薬を実現できる可能性があります。当社の抗体技術と、UBE社のリンカー/ペイロード技術とを組み合わせて、両社のみならずアカデミアからのシーズも広く取り入れ、有望なADCの研究開発につなげていく、その第一歩と考えております。
皆様におかれましては、当社へのご理解・ご支援のほどよろしくお願いいたします。