ペルセウス通信

PPMX-T003:ANKL(アグレッシブNK細胞白血病)治療薬の開発について

2024年09月03日

みなさんこんにちは。社長の横川です。
今回はPPMX-T003のもう一つの適応症であるアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)で目指している「オーファン・ドラッグ」の開発について、その背景と意義を少し整理したいと思います。

ANKLは、予後不良の厳しい希少疾患で、良い治療薬が世の中にありません。患者さんの数が大変少ないため、病気についての研究が進み難く、治療薬の開発機会も少ないからです。

大阪大学の幸谷教授は、血液内科医としての臨床経験をきっかけに、長い間この病気の研究に熱心に取り組んでおられます。当社が真性多血症(PV)の治療薬として開発中のT003を幸谷先生の研究のためにご提供したところ、ANKLでの画期的な治療効果が動物実験で確認されました。この成果をもとに、当社がAMEDの助成金を得て、医師主導治験が進められています。治験の現場では、広島大学の安藤先生を中心とした多施設チームが、臨床効果を確認するため、全国で治験の対応を行っています。医師主導治験であるため、企業側から詳細な進捗を開示することはできませんが、当社は治験薬の提供と共に被験者の方の登録が進むように各種のサポート等を行っております。

「オーファン・ドラッグ」は、国内の患者さんが5万人未満と少なく、治療法も確立されていない希少疾病用の医薬品です。治療困難な病に苦しむ患者さんにとって、オーファン・ドラッグが果たす役割の大きさは計り知れません。日本には、こうしたオーファン・ドラッグの開発を支援する仕組みがあります。オーファン・ドラッグに指定されると、研究開発費の助成金が交付されるほか、優先的に承認審査が行われるなど、各種の措置が受けられます。

全ては治験の結果次第ですが、治療効果が確認されれば、オーファン・ドラッグとしての指定を受けたうえで薬事申請を行い、一刻も早く承認を取得して患者さんに届けたいと思っています。がん細胞に対する新規の作用機序の治療薬が実現すれば、将来的には他の血液がんへの応用も考えられます。

なお、8月初旬に皆様からのお問い合わせについて、ウェブで対応することをお伝えしましたが、治験の進捗、パイプラインの導出の確度や時期、規模等に関する個別のお問い合わせには回答いたしかねることをご理解ください。治験や導出などについての情報は、適宜公平に開示してまいります。
皆様におかれましては、引き続き当社へのご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。