ペルセウス通信

多重特異性抗体の作製・製造技術の開発に関する共同研究契約について

2024年08月02日

みなさんこんにちは。取締役・研究開発部長の萩原です。
本日お知らせしたとおり、当社は山形大学、大阪公立大学、東京農工大学との間で、バイスペシフィック抗体(二重特異性抗体)を含む多重特異性抗体の作製及び製造技術の開発に関する共同研究契約を締結しました。

抗体は2本の腕を持ったY字の形をしています。通常2本の腕は1つの抗原にしか結合しませんが、バイスペシフィック抗体は、2本の腕がそれぞれ異なる抗原に結合するように改変された抗体です。一例として、1本の腕はがん細胞特異的な抗原に、もう1本はがん細胞を攻撃する免疫細胞上の抗原に、それぞれ結合するT cell engagerが広く知られています。T cell engagerは、がん細胞とT細胞を近づけることで、T細胞によってがん細胞を効果的に除去する手法として注目を集めています。



バイスペシフィック抗体は、単一の標的分子を狙った従来の抗体医薬品では成し遂げられなかった機能を発揮する新世代の医薬品として、がんをはじめとした様々な疾患への適用が期待されており、当社の注力分野のひとつです。一方で、その製造工程において、目的のバイスペシフィック抗体1種類に対して、9種類の不純物が生産されてしまうことが大きな課題になっています。



今回の共同研究は、当社が有する抗体ライブラリの特長を生かしながら、山形大学・真壁幸樹先生、大阪公立大学・中西猛先生、東京農工大学・浅野竜太郎先生らの有する次世代バイオ製剤の設計技術を組み合わせて、バイスペシフィック抗体を含む高機能な多重特異性抗体を効率よく作製・製造するためのプラットフォーム技術の研究開発を進めることを目的としております。製造に関する上記課題の解決を図りながら、次世代の革新的な抗体医薬品の創出を目指します。皆様におかれましては、今後とも当社へのご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。