ペルセウス通信

EACR 2024での発表内容について

2024年06月13日

皆さんこんにちは。社長の横川です。
今朝のお知らせで報告しました欧州癌研究会議(EACR 2024)の内容について、詳しくご説明します。

EACR 2024は、6/10~13、オランダのロッテルダムで開催されています。当社からは昨日(6/12)の日本時間19時頃に取締役研究開発部長の萩原が発表しましたので、今朝ご報告した次第です。

発表内容は、現在開発を進めているPPMX-T004の基礎的な薬効データに関するものです。T004(抗体は少し構造を改良しているのでT004bと表現しています)はカドヘリン3(CDH3)という固形がんに多く発現している抗原を標的にしています。CDH3は卵巣がん、頭頚部がんなど多くの種類のがんに発現しているため、T004はこれらに対する有効な治療薬となることが期待されます。主な発表内容は、当社が開発している抗体の性能や、UBE株式会社が開発している新しいリンカーおよびペイロードであるAE(auristatin E)と当社抗体を組合せた新しいADC(抗がん剤が結合した抗体薬)を設計したこと、そして、このADCを用いたマウスの試験で、非常に強いがん抑制効果が確認されたことです。

当社は複数のADCを検討しておりますが、T004についてはUBE社のリンカー及びペイロードを中心に開発を進めています。ADCの設計では、抗体の標的やその特性に合ったリンカー/ペイロードとの最適な組み合わせが必須です。初めてマウスの薬効試験の結果を見た時は、抗がん効果の大きさに非常に驚きました。今回、有望な薬効が確認できたことは大きな前進と捉えています。

一方、ADCは薬効とともに当然毒性も強くなりますので、今後の課題は毒性の評価とその制御です。薬効と毒性のバランスについては各社が最も苦労している点です。今後、T004の開発をさらに推進いたします。

今後とも、皆様の暖かいご支援をお願いいたします。