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2023年度の振り返りと今後の成長計画
2024年05月17日
みなさんこんにちは。社長の横川です。
5/15の決算発表に続き、本日機関投資家様向け決算説明会を行いました。説明会の資料はHPのIR資料に掲載しましたが、その概要と今後の計画を補足してご説明します。
2024年3月期の実績を振り返りますと、PPMX-T003の真性多血症患者さんの第Ⅰ相試験は、既にお知らせしているとおり1か月遅れて7月末に終了する見込みとなりました。2月にお知らせした時点では6月終了に自信を持っていましたが、さらに遅延となり申し訳ありません。ただ、最後の患者さんへの次用量の投与は無事終了していますので、今後は経過を観察して7月末に終了の見通しです。
なお、今回の試験はオープンラベルですので、治験終了と同時に主なデータが判明します。このため、6症例全ての治験データを備えた本格的な導出交渉は最終報告書を待たず、治験終了直後から行います。
また、T003のANKL(アグレッシブNK細胞白血病)を対象とした医師主導第I/II相試験も引き続き実施中です。
放射性医薬品候補のPPMX-T002は、協業先候補を絞り込みました。T002の導出においては、早期に確実に上市するべく、今後の開発計画を重要視しております。引き続き今期の導出に向けた交渉を継続しております。
ADC(antibody drug conjugate)のPPMX-T004は、抗がん剤と最新のリンカー(抗体と抗がん剤をつなぐもの)の組み合わせで、動物実験では強い薬効を確認しています。ADCの開発においては、薬効とともに毒性の制御が重要な課題です。現在は、サルによる予備毒性試験を実施中です。薬効と毒性の2つを両立する優れたADCの完成を目指して、当社の研究チームが日々奮闘しております。
一方、2月に発表した資金調達の主な目的は、既存のパイプラインPPMX-T004の開発と、今後の成長の要である当社技術の研鑽です。27頁から29頁に当社の抗体技術の開発戦略を示しております。27頁には、ファージディスプレイ法を用いた創薬の一般的な流れを示しています。現在の医療ニーズが高い抗体は、非常に取得が難しい高難度抗原に対する抗体ですが、こうした抗体の取得は、従来技術では実質的に不可能です。このため、当社は独自のバイオインフォマティクスを編み出し、全抗体の配列とスクリーニング結果の組み合わせをデータベースに取り込んで、高難度抗体を効率的に取得することを目指してきました。その技術確立は、もう目の前に来ています。これまで取れなかった抗体が取れることは、すなわち既存薬のない病気に対する新薬が見いだされることを意味しています。
これを実現するため、抗体ライブラリも刷新します。従来版と同様に他社比100倍の多様性をもち、かつ簡便に抗体の配列情報を取得できる技術が組み込まれています。さらに、スクリーニング手法のハイブリッド化で、抗体候補をバイオインフォマティクスで推定するシステムになっています。この抗体取得技術が完成すると、当社の創薬競争力は大幅に向上すると確信しており、現在、基礎研究領域で最も注力しています。こうした基盤技術の進化は、どんどん難易度が高くなる新規抗体取得において、必須の技術革新です。
皆様には、引き続き当社へのご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。