ペルセウス通信

血液学会PV治験中間発表について

2023年05月27日

みなさんこんにちは。社長の横川です。
本日、日本血液学会近畿地方会で、当社が実施しているPPMX-T003(以下T003)の真性多血症(PV)の第I相試験(P1)の中間結果報告があり、私も会場に足を運びました。治験責任医師である関西医科大学付属病院の伊藤量基主任教授が登壇し、健常人(総数40名、実薬30名)のP1結果と、今回のPV患者さん3例の結果がほぼ一致していると説明されました。中間報告ですので目標症例6例のうちの3例ですが、安全性、薬理効果ともに健常人のデータと同じ結果が得られたことは重要だと説明され、発表されたデータに注目が集まりました。

まず、臨床試験における安全性とは、治療時の想定量で薬剤を投与した際、重篤な副作用が生じないことです。今回は発熱、リンパ球等の一過性の上昇、抗体薬の点滴時に通常見られる副作用(寒け、頭痛、発疹など)が発生しましたが、重篤なものはありませんでした。最も重要な安全性について、3例すべて問題はなかったということです。

次に薬効ですが、健常人ではT003の作用で、ヘマトクリット(血液中の赤血球の割合)やヘモグロビン(血液中の鉄を含むタンパク質の量)などの赤血球関連の数値が低減し、貧血兆候が見られました。これは、T003によって赤芽球細胞(赤血球になる前の細胞)の増殖が阻害された結果だと考えています。PV患者さんに対しても同様に赤血球が減るかどうかを、安全性と同時に評価していますが、3例とも見事に両方の数値が減少しました。

また、この治験では、定期的に瀉血(血液を抜くこと)治療を受けている患者さんに、瀉血後T003を投与した後、瀉血が不要となった期間の長さを評価指標としています。治験参加前に4~9週間の間隔で瀉血を行っていた患者さんが、T003投与後12週間以上瀉血をしなくてもすめば、その患者さんでは瀉血同様の治療効果があったと判断します。今回の3例の患者さんは、いずれもこの指標をクリアしました。健常人の結果から予想はしていましたが、3名の患者さんで期待どおりの治療効果が見られ、開発チーム一同、喜んでおります。

以下に発表されたデータの一部をご紹介します。ヘマトクリットとヘモグロビンは、赤血球の量に相関する検査値です。

[治療効果:0.25mg/kgで1回投与した症例]



緑の点線が基準値の上限値、ピンク色の点線が基準値の下限値です。1日目にT003を投与後、ヘマトクリットもヘモグロビンも低下しています。効果は継続し、12週間瀉血不要でした。

[治療効果:①0.25mg ②0.4mg ③0.64mg/kgと投与量を増やし、計3回投与した症例]


0.25mg/kgでは効果が見られませんでしたが、0.4mg/kgで効果が現れはじめ、0.64mg/kg投与後にはヘマトクリットとヘモグロビンが基準値以下となり、これを12週間維持して瀉血が不要でした。

現在、治験実施施設を7か所まで増やしており、今後、残る3名を組み入れて第Ⅰ相試験を完了します。皆様には、引き続き当社へのご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。